フォーカスライトをINON LF800-Nにしたり、RGBlueにしてみたり。
ストロボのディフューザーを外したり片方だけにしてみたり。
INONカーボン伸縮アームをビューーーーンと伸ばしてバックライトに挑戦したり。
HOTけNIGHTの撮影で、未だに試行錯誤を繰り返しています。
先日、突如としてストロボがバララララララララララララララララララララと
超スピードで連続発光しだしました。
電気接続部の水没が原因だったのですが、
それを見た先輩ガイドが「新兵器投入してきよったー!」と勘違いしてびびったって言ってて
いつの間にかびっくり人間扱いになっていた。。
伊豆諸島・八丈島より、石野です。
僕は、コンカラー・スタッフの梅ちゃんと2人で”産卵追いかけ隊”という部活動を行っています。
メインに狙っているのは、比較的見やすく、撮影もしやすい「ネズッポ科」の産卵。
夕方にエントリーして日没をじっと待つ、忍耐力が必要です。
途中で飽きずに観察し続けることができると、
最後に劇的で感動的なシーンが待っているのです。
でも、面白いのは産卵に至るまでのドラマ。
例えば、なかなか踏ん切りがつかないメスを誘うオスが必死すぎだったり
ハレムのボスオスがたくさんのメスを抱える横で、
岩陰に隠れて別のオスがこそこそヤッちゃってたり。。。
ついつい感情移入してしまいます。
短期間に集中して産卵を狙ったら
日ごとに異なるストーリーが見られ、
ある日の産卵は特に興味深いことが起きました。
その時の話をしましょう。
狙ったのは「ミヤケテグリの産卵」です。
ただ、主役はコウワンテグリの♂
ナズマドの水深7mにあるゴロタ地帯の一角。
日没が近づくと、半径2mほどの小さな範囲にどこからともなくミヤケテグリたちが集まってきます。
その数、立派に成長したオスを中心に10匹以上。
中には、おこぼれにあずかろうと若いオスも混じっています。
さっきまで静かだった一帯は、突如として賑やかな産卵場と様変わり。
その騒ぎに誘われてか、カサゴ科やテンジクダイ科など捕食者の姿まで。
僕たちダイバーは少し離れたところから、今か今かと開始の合図を待ちます。
突然、1匹のオスが大きなヒレを広げでメスに求愛を始めました。
産卵ショーの開幕です。
、、、、とちょっと待ってください。
ミヤケテグリの産卵場にコウワンテグリのオスが混じっています。
ここからは、視認性のために♂赤をミヤケテグリのオス、♀ピンクをミヤケテグリのメス、♂青をコウワンテグリのオスとします。
コウワンテグリの産卵は、ここから3mほど離れた場所で行われているので、
近いからたまたまここに混じったのか?と思いました。
ところがこのコウワンテグリのオス、
ミヤケテグリが産卵しようとすると強烈な攻撃で邪魔をします。
ミヤケテグリの2匹が飛び立つと下からガブッ!
メスが何度も弾き飛ばされるため、全く産卵が成功しません。
コウワンテグリの産卵場からはじき出されたやつの腹いせとも考えましたが、
“虫の居所が悪い”だけではどうも納得がいきません。
邪魔をしているだけかと思いきやミヤケテグリの産卵に自ら混じってしまいました。
もしかして、邪魔をしていたのは嫉妬心から?と同性愛を疑いたくなるようなシーンも。
もう何が何だか分からない。
ミヤケテグリのメスとコウワンテグリのオスが産卵上昇。
結局、このコウワンテグリのオスは
一度も産卵を成功させることができませんでした。
次々に展開されるミヤケテグリたちの産卵上昇を
食い止め切ることもできず、
何もやり遂げることなく日没とともに産卵場を後にしました。
後ろ姿から漂っていたのは、敗者の哀愁ではなく、
内なる自分の新たな可能性の兆しを感じた複雑な希望でした。